C-2.阿弥陀如来坐像 売約済














幕末嘉永の修理銘。底板の布張りを部分的に剥がして文字が陰刻してあります。(一部色が抜けて読みにくくなっています。)



頭部を前傾させた姿勢、ふくよかな顎のライン、後方に反った耳たぶは、いずれも鎌倉時代の仏像に見られる特徴です。
また、玉眼の嵌入と内繰りのために頭部を前後に矧ぎつけた線が耳の後ろに確認できます。
これは古い玉眼像に見られる特徴で、時代の下った像は顔の前面をお面のように薄く作り、貼りつけるようになります。



定印を結んだ指先を中心に後世の修理の手が入っています。
また、裳先も僅かな欠損があります。







サイズ 高さ240o

木彫漆箔、寄木造、玉眼入、鎌倉時代

慶派の流れを汲んだ仏師の作と思われる、端正な顔立ちの阿弥陀如来坐像です。
頬や顎に張りを持たせたた若々しい面相、やや猫背で量感のある体躯、密な衣紋の表現等、まさしく鎌倉の仏です。

一尺に満たぬ小像ながら造りは寄木で内繰りが多く取られ、驚くほど軽量に出来ています。
また、玉眼の嵌入する際に頭部を前後に分割して矧ぎ付けてありますが、分割線が耳の後ろにある古式の
制作年代はやや衣紋の表現が煩雑で様式化していることから、鎌倉後期の作と推測します。

上げ底になった底板に「嘉永六癸丑年十一月吉日 奉新建立本尊三躰 金百疋永代修履料 當山現住貞亮 武州ヒニシ?住人 佛工 伊東隆嘉」とあります。(一部旧字を現代文字に変換)
当阿弥陀像が幕末の制作とは到底考えられぬことから、修理銘と考えてよいかと思います。

保存状態は白毫、肉髻珠の欠損、右上腕部に1p大の傷、右耳たぶの欠損、左耳たぶの傷、裳先の小欠損があります。
修理は印を結んだ指先に手が加えられているようですが、他に違和感のある修理痕はありません。
現状では頭部や体の根幹部には大きなダメージはありません。

小像ながら鎌倉仏の威厳があります。
中世に遡る眉目秀麗な像をお探しの方は是非ご検討ください。