A-4.妙沢不動明王図






左の柱部分に裂地の欠損があります。(補修可能です。詳しくはご相談ください)


元禄十五年の修理銘


木箱入

価格 お問い合わせ願います。

サイズ 本紙 縦1045㎜ 横368㎜ 表具 縦1900㎜ 横 530㎜(軸端を除く)

絹本木版摺、軸装、室町時代

南北朝時代の禅僧 龍湫周沢(諱は妙沢 1308~1388))の描いた不動明王図をもとに摺られた木版画で、一般に妙沢不動と呼ばれる品です。
周沢の描く不動明王は霊験あらたかと評判を呼び、周沢在世中から既に木版が開版され、江戸時代に至るまで新たな開版が繰り返されました。

ご案内の品は絹本に墨摺の無彩色の品です。
通常の木版画、特に大型版画は殆ど全てが紙に摺られますが、この品は絹本(絖本=羽二重のような薄くしなやかな絹)に摺られています。
このことから紙本よりも各上の品として制作されたことが推測できます。
制作された年代は仏教版画は時代が下るほど彩色が濃くなる傾向にあり、また、古色蒼然とした時代感から室町時代前期を下らない品と推測します。

現状は本紙にシワ、表面のアレが生じています。薄くしなやかな絖本に摺られたため、幸いにも大きな折れやヒビ割れは生じていません。
表具の裏には元禄十五年(1702)の修理、寄進の記銘があり、修理から300年以上が経過していることが解ります。
傷んだ箇所は、向かって左の柱の一部欠損、八双の付け根の傷み(現状は裏から紙を充ててあります)、その他に巻紐の欠損があります。

表具は臙脂の高野裂仕立てで趣があり、また、元禄の修理では丁寧な折伏せがされていますので、このまま鑑賞することをお勧めしますが、紐の付け替え、表具裂欠損部の補填など最低限の手入は早めにお勧めします。(補修に関してはご相談ください)

妙沢不動は仏教古版画の展覧会や図録では必ず紹介される中世仏教版画を代表する品ですが、不思議なことに中世に遡る品は民間で殆ど見かけることがありません。
尚、この品は版画研究家 故徳力富三郎氏の旧蔵品で、『東洋古版画 徳力富三郎蒐集』に室町時代の品として掲載されています。

掲載図書
『東洋古版画 徳力富三郎蒐集』 1978年